’01.10.28

きのうまでの秋晴れが一転、昼過ぎから雨になり夕食の頃はひどい雨足になりました。
ここは毎週決まった曜日にクリーニング屋さんが来てくれます。このおじさんはいつも庭のとびら越しに洗濯物を受け渡しして帰って行きますが、必ずわたしのことをかまってくれます。だからわたしもクリーニング屋のおじさんが来ると、愛想よくお迎えすることにしています。なんでも、家には15才になる柴犬がいて、よそのお宅の犬も大体歓迎してくれるそうです。

今日もピンポンとチャイムを鳴らして、クリーニング屋のおじさんがきました。「は〜い」といいながらおかあさんと庭に出て、お母さんは洗濯物の受け渡しをしています。
「あそこのワンちゃんは賢くて、洗濯代金をくわえて私に渡してくれるんですよ。お釣りを渡すと、こんどはそれをくわえて、家の人に渡すんです。専用の袋がありましてね」
「それはまた賢いワンちゃんだこと、持ってくるって。ラムはね・・・」

持ってくるという言葉で思い出しました。物干し台の下に洗濯ネットが落ちていたことを。持ってこなくっちゃ。
「あら、ラムどこにいくのかしら・・・・・あ、ネット持ってきてくれたの、賢いわね」「ラムちゃん、お利口じゃ〜ないですか」
「ラム、ありがと〜。お母さんにそれちょうだい。ラム、ちょうだい」
いいえ、せっかく持ってきたもの、そう簡単に上げるわけにはいきません。わたしは得意になって、庭の中を歩いて回りました。
「ラムちゃんさようなら。どうもありがとうございました。」「いいえ、どうも・・・」

クリーニング屋のおじさんは帰って行きました。わたしはくわえたネットを口から落し、しっぽを振って見送りました。
「クリーニング屋のおじさんがいる時に渡してくれると良かったのにね。それにしても、ラムは会話が分かるの、すごいタイミング」
いいえ、それ程でも。ただいつも使っている言葉は、そう多くはないですが分かるんです。だけど今回はちょっぴりお母さんに悪かったかな。