’99.11.3

三日ぶりに主人と会いました。話からして札幌へ出張のようでした。
「おいラム、元気か」久しぶりの呼びかけです。まあまあ、ここは礼儀を尽くして尻尾を振ってごあいさつ。「ラム、おまえの仲間の黒ラブが稼いでいたぞ、それも夜の路上でだぞ」

主人の話はこうでした。札幌の繁華街の横断歩道で信号待ちをしていたら、一匹の黒ラブが口に籠をくわえてやってきました。信号は赤だったので丁度主人の横に来て、おすわりをして信号待ちをしたそうです。チョット後ろに、飼い主らしき人がいて信号が変わると「行け」と言って、横断歩道をわたって行きました。しかもノーリードです。主人も気になって、その後をつけていきましたが、これは一種のデモンストレーションだったようです。

道路の向こうには車が止めてあり、その前に止まると黒ラブはやおら籠を口から放して下へ置きました。籠の中を見ると、千円札が何枚か入っていたそうです。黒ラブは大道芸をする、いやさせられるワンちゃんだったのです。

黒ラブの芸が始まりました。ジャーキーを見せられて、マテををさせられ、ヨシで口に入れたかと思ったとたん、出せと言われて口に入れたジャーキーを下に落としました。
また、3個ほど並べたものから一つを選んでくることもしました。持って来いと言われるものは必ず左端にあるものです。何人かが集まって見ては感心していたそうです。主人もその中の一人で、なんとも複雑な気持ちだったようです。

なんでも主人の言う事には、お金を出したのは主人一人で、触っても言いかと断わってあごの下を撫でてやって帰って来たそうです。
まあ、黒ラブにとっては楽しい事なのかどうなのか、何となしに悲しい気持ちになりながら主人の話を聞いていました。