’00.7.20

「ラム、座れ、伏せ」。夕食の良い匂いに誘われて、玄関のたたきで中の様子を伺っているといきなり主人のコマンドです。この程度のコマンドは朝飯前です。いや、夕食後でした。

「座れ、お父さんの顔を見て」 せっかく伏せをしたのにまた座れって、最初から伏せを言わなければ良いのに・・おっと、顔をみてダ。これが曲者なんだよな〜、なんかあるゾ。
「じーとお父さんの顔を見て」最近は、余り難しいコマンドが出ないんで楽ちんなんですが、今日はまたなんで。

おっと、いきなり鼻の上にかりかりのフードなんか載せて。くすぐったい。落ちたものはひらって食べなくては。それもたった一粒。「だめじゃーないか、じっとしてないと。じーっと、お父さんの顔を見て」
見てますよ、それにしてもしわがふえたな〜、年だもんな。「じーと、そうそう」 そうそうって、鼻にフードを乗せられたらくすぐったいし、いい匂いだし・・・・「また食べちゃった、じーとしてなきゃ」

主人はわたしの鼻の上に一粒のドッグフードを乗せて、それでもってそのままじっとしておきなさいと言っているようです。しかし、こんな難しい芸をいきなりやれって無理ですよ。しかも食べ物でしょう。

後からの会話で分かったのですが、なんでも「RETRIEVER」という雑誌の8月号の表紙にトマトを鼻に乗せた仲間が写っていて、とても可愛かったんでその真似をさせようってことだったらしいんです。いきなりじゃ〜、頭の良いわたしでも訓練というものをしなくっては。

「おー、いいぞいいぞ、よし」 よしって、なにがよしなんでしょうか。きょとんとしていると、また「よし」。 なにがよしかわからないでいると、「な〜んだ、ラムは鼻に乗っけているのがわからないんだ。小さいもんな〜」。 どうも鼻に乗っけたことがわからないでじっとしているもんですから、主人は上手く行ったと勘違いしたようで、わたしも気が付いて食べることにしました。
かくして、短い時間でしたが久しぶりの特訓で身の引き締まる思いでしたが、端から見ているとまったくのお笑いでした。チャンチャン!