米国はブッシュ大統領になってから、軍事的にも経済的にも米国中華主義とでも言われるような、自国中心の政策に舵を切り替えていました。世界の大国というプライドや大らかさをかなぐり捨てて、自国防衛の鎧をつけ始めた時に、今回の同時多発テロが発生したように思います。
このテロに対する報復措置として、連日のように報道されているテロ首謀者と思われる集団に対するミサイル、爆弾攻撃です。報復措置に当たって米国が取った行動は、一旦取り付け始めた自国防衛の鎧を脱いで、英国を初めとする世界をリードする国々との緊密な連携でした。
いかに米国が世界一の経済、軍事大国であっても、一国だけで世界にネットワークを張っていると思われるテロという犯罪集団を相手にする事は、やはり困難なことなのでしょう。

同時多発テロが起こって、米国内では大きな変化が起きていると言われています。
それは自由主義、民主主義の権化である米国人の超個人主義が崩れ、人々が国や地域におけるコミュニティーの重要性を見直し、家庭や地域住民の絆がかけがえのないものであるということを、強く認識しはじめたということのようです。

かつて日本は、世界一治安のいい国ということになっていました。大家族、隣組というように、常に暖かく厳しい目が行き届いて、悪い事をする芽はすぐ潰されるような地域環境が在ったように思います。
それが現在では、犯罪に関しては世界並みの水準にまで治安の悪い国になってしまいました。警察庁の統計では、分かっているだけでも平成12年の重要犯罪件数は平成3年の2倍(18千件)、重要窃盗事件は1.4倍(423千件)と増加しています。増えつづける犯罪に対し、どう立ち向かって行ったら良いのでしょうか。
10月25日に放送されたNHKの「クローズアップ現代」でも、増えつづける住宅街の犯罪を取り上げていました。もはや警察ばかりに頼る訳には行かないと住民がとった自衛手段は、地域をカバーする近所の人の目ならぬ監視カメラの目でした。効果はてきめん、車上荒しや盗難は目に見えて減少したそうです。
そしてなによりも重要と結論付けていたことは、やはり地域住民のコミュニティーではないかということでした。

私の住む町にも町内会がありますが、その活動は必ずしも活発ではありません。高齢者や主婦の方が中心になって、役員を義務的に任されているという程度で、老人会の活動の方が活発です。
2年前からは防災会が発足し、私も役員を仰せつかっていますが、犯罪を未然に防止するような活動にはなっていないのが実情です。むしろ朝晩ラムを連れて散歩に出かけ、行き交う人と顔を合わせ、挨拶をする方かコミュニティーという点からは役に立っているかも知れません。
「社会」のテーマのところでも書きましたが、国民が暮らす社会を考えると「地球社会」、「国社会」、「会社社会」、「地域社会」、「家庭社会」そして最近言われる「ネット社会」という社会があるように思います。その中で、私達が生活していくのに一番係りが深いのが、この「地域社会」ではないでしょうか。
他の家族、他人と共に暮らして行く原点である「地域社会」が、一番曖昧で無責任社会であっては日々の安寧は得られないと思います。
残念ながら「会社社会」を外から眺めはじまてやっと、町内活動を活発化させ、犯罪を未然に防ぎ、災害の際にはお互いが助け合う地域社会を確立して行がねばならないと思うこの頃です。