ラブのスタンダードについては、JKCの「STANDERDS OF THE BREEDS」等(PDはWEBサイト、「警察犬」)に記述されていますので、それを見るのが一番正確と言えます。

しかし記述は文章による表現で、唯一の数値データはサイズです。それも理想体高として、牡は56〜62cm、牝は54〜56cmとあるくらいで、あとは文章をどう解釈するかという、素人にとってはかなり主観的な理解となります。

'03.7.10 サリー(20ヶ月齢)訓練所の前にて
そこで私の勉強のために、得意の独断と偏見(今回は技術的な解釈なのであまり適当でありませんが)をもって、各部位のスタンダードを主観的ではありますが容姿からと、若干客観的に体躯からと、理解しやすい表現で書いてみました。

できるだけ多くのスタンダードの記述を参考にして書きました。しかし、気になるのはスタンダードとサリーの比較です。
その点では、サリーを意識した親バカな恣意的スタンダードになっているかもしれませんので、あらかじめお断りしておきます。(参考資料はJKCとPDの標準書)





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容姿から見たスタンダード



頭部 何と言っても顔の感じは、やさしくて、利口そうで、かわいいという印象を与えること。(飼い主は皆そう思っているので、これは問題なし)
頭は大きすぎず、小さすぎず、体全体とのバランスがとれていること。スカルや鼻は大きめで、ストップははっきりしていること。のっぺりしたり、尖った感じの顔はよくない。そのためには、マズルは太く短めがいい。
歯はシザーズ・バイト(上の歯が下の歯の前にわずかに接触し、鋏のように噛合う)で、完璧な正しい歯列で、欠歯のないこと。
目は大きすぎず、小さすぎず、やさしい感じで、色は褐色か赤褐色。(垂れ目はよくないとは書かれてない)
耳は頭部の後方に付いていて、耳を寝かせると前から見えなくなるくらい。

頚(首) 短くもなくすっきりしており、丈夫で、力強く、肩にしっかりついている

ボディ トップライン(横から見たとき、耳から尻尾の端までの、犬全体の上面)は平らである。
腰は幅広く、胴は短めがよい。胸はビア樽のように大きく幅広く、深い。上から見ると背から腰にかけ長方形に見える。

 付け根はたいへん太く、先端に行くに従って徐々に細くなる。中くらいの長さ(尻尾の先端が、飛端にとどく位)で、飾り毛はないが、全体が短く、厚く、密な被毛により覆われており、丸く見えるので、オッター・テイル(かわうその尻尾)と呼ばれる。
尾は高くあげてもよいが、尻尾の先にいくほど巻いているのをみかけるが、これはスタンダードからはずれる。

四肢 前足は骨太でたくましい。前から見ても、横から見ても、肘から地面までは真っ直ぐである。(スタックの時は、この点を注意する)
後足はよく発達しており、尻は傾斜せず、そのまま尾に連なっている。
飛節は十分低く位置し、カウ・ホック(飛節が内側に向いている)は極めて好ましくない。横から見ても、後ろから見ても、飛端から地面まで真っ直ぐである。(スタックの時は、この点を注意する。自然に立つと、横から見て飛端は趾より外側に出るので要注意)
足は丸く、コンパクトで、指趾はよくアーチしており、パッドもよく発達している
全体のバランスから、四肢の長さは短すぎない。

歩様 自然で無理のない、意欲ある円滑なトロットが望ましい。前後肢は真直に伸び、歩幅もあること。ラブの歩様は頭部を上げ、体型を崩すことなく、ハツラツとして尾を振りながら迅速な運歩をすること。

被毛 短毛で密生し、ウエーブ状の飾り毛はない。手触りはかなり堅く、下毛は風雨に強い。
全体的にブラックあるいはイエロー、チョコレートである。イエローは明るいクリーム色からレッド・フォックスまである。胸にある小さなホワイトの斑は許容される。

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体躯構成からみたスタンダード



前躯部
肩は長く、傾斜している。前肢は骨がよく発達し、前から見ても横から見ても肘から真っ直ぐに地面におりている。

肩甲骨は長く、角度がある。肩の角度は45度が理想といわれているが、これはまちがいで、実際は平均30度くらいが標準といわれている。
肩甲骨と上腕骨の角度は90度が理想であるといわれているが、上記のことからしてもう少し狭い。
前肢は自然に立った状態で地面に垂直で、肘から下の長さは体高の1/2が標準とされている。


胸は十分な幅と深さがあり、よく張った樽状の肋骨部を持つ。背線は水平である。腰部は幅広く、短いカプリングで、力強い。

胸幅は前肢の間が手のひらサイズくらいで、胸深は肘よりやや下がるくらいがこのましい。胸幅が広すぎたり、胸深がありすぎたり又足りないのもはよくない。

ラブラドールの肋骨部が樽状であることにより、一見トロットの歩様は軽快さに欠けてみえる。またスピードが増すと、左右の脚が一直線上になるシングル・トラッキングではなく、四肢が中央線上に寄ってくる。
隆起した鯉背、緩んだ背、傾斜した背は後肢の推進力の伝達を妨げ、効率的な走りができないので、背線は水平でなくてはならない。

腰部は上から見た時に、腰がくびれて細くなっていたり、横から見た時大きく切れ上がっていてはいけない。
短いカプリングとは、カプルが短いことで決して胴が短いことを意味していない。胴が短いと、牝にとって胎児のための空間がせまいことにもなる。成犬のカプルの幅は、おおよそ手のひらのサイズである。

体高と体長の比はKCでは特にうたってないが、AKCのスタンダードではキ甲の高さ(体高)と、キ甲から垂直におろした線から坐骨端までの長さが1:1である。

後躯
よく発達しており、尾に向かって傾斜していない。大腿骨と脛骨をつなぐ間接(膝部)は十分に曲がっている。飛節は十分に低下しており、カウホックは望ましくない。

ラブラドールは前躯部よりもむしろ、腰部から後躯にかけて幅広く発達している。前躯部の発達が過剰であったり、あるいは前胸の幅がありすぎるのはよくない。
膝部の角度はどれくらいがいいかは、犬の立ち方によって変わるので規定していないが、後肢の趾の先端が坐骨端の真下にあるのが好ましい。
角度が浅く、立った状態の後肢と、逆に角度の深すぎる後肢もラブラドールにとっては正しいとはいえない。立ち姿の外見上のかっこよさや派手な歩様と、機能的、効率的歩様とは異なるものである。

飛節の高さは坐骨端の高さの1/3が理想である。カウホックや高い飛節は大きな欠点となる。

歩様
自由で、十分な距離を進む。前肢と後肢はまっすぐに、正確な位置で進む。

ラブラドールは胴が短く、肋骨部は樽状をしているため、決してトロットの得意な犬種ではない。ショーリングで好まれる風を切って歩くような派手な動きはできない。その本来の目的からして、無駄な動きのない効率的で持久力のある歩様である。

トロットの歩様で、前肢は高く上げることなく低い位置で前に伸び、前足と後足の踏み跡が重なる。
右前肢と左後肢が同時に地面から離れ、それに同調して左前肢と右後肢が同時に地面に着地する。後肢も地面から離れた後に上げすぎたりはせず、前肢と後肢の歩幅はほぼ同じである。

間違った前肢と後肢の伸び、特に地面から離れたあとの肢の伸びをよいリーチとかよいドライブとか呼んでいる。これは後肢が後ろに高く伸ばされていることが、けりが強いと勘違いしているだけで、効率的な歩様ではない。
ラブラドールのトロットは、前肢の着地点は目の真下で、後肢はほぼ肋骨の端の下で着地する。

ラブラドールの歩様は、派手な誇張された大股歩きの動きではなく、一定のリズムで、秩序正しく、無駄な動きのない効率的な歩様であるべきである。

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