2006.9.14 >TOP
秋の長雨

秋の夜長
北の高気圧と南の高気圧のせめぎ合いで、間にできる前線は梅雨時と同じです。やがて北の高気圧が優勢になる今頃の前線を秋雨前線と言うらしいですが、私たちにとっては全く持って迷惑な話です
しかしそこは情緒を重んじる日本人のこと、秋の雨にも名前をつけて憂さを晴らしています。
夏の終わりのザ〜と降ってくる夕立を秋驟雨(あきしゅうう)、小雨を秋微雨(あきこさめ)、この頃のような長雨を秋霖(しゅうりん)、涙をそそぐ寂しい雨を灑涙雨(さいるいう)とはよくいったものです。
さしずめこのところの秋霖は、私たちにとっては灑涙雨といったところでしょうか。

そうはいっても用足しのためにだけ庭に出してもらって納まるはずもないサリー、タイミングを見ては主人の腕を鼻で持ち上げて、目と尻尾でしきりと催促しています。
サリーのデモンストレーションにわたしもぼんやりしているわけにも行かず、あたりさわりのないところで前足を伸ばしての伸びをして、聞こえるような声を出して大きなあくびを一発かますのであります。

この波状攻撃に、知らぬ半平を決め込んでいた主人も哀れをもよおしたのか、小ぬか雨降る中ではありますが裏の原っぱに出してくれます。
前回の痛い痛い轍を踏まないように、庭から原っぱに降りる踏み台を、それはそれは慎重に降りる主人をみていささか申し訳ないように思うこの私の優しさ。
そんなことはお構いなく、さっさとボールを咥えて飛んでゆくサリーはのん気なものです。さらに咥えたボールを主人のところに持ってきて、投げてくれとの催促。
仕方なく要求に応えて、左手で投げたボールはあらぬ方向へ飛んでゆきます。素っ飛んでいって目算の違ったサリーは、慌てて戻ってはボールを拾っていますが、それはそれなりに楽しんでいるようです。

かくして主人は、濡れた体で庭に戻ってきてた私たちをタオルで拭いてくれます。「私たちのシャンプーが省けてよかったでしょう」と、私なりに精一杯の喜びのポーズで主人を慰めてやるのです。
こんな秋霖の夜長は、早めにケージに入って寝ることにしています。この時ばかりは、サリーの気持ちも同じなのであります。はい。
BACKNEXT