’11.12.5
嵐のような風もおさまって、久しぶりに今日は暖かく晴天です。主人は朝からバックを担いで、車で出かけました。

お母さんは体が不自由になって以来、一人で外出することはめったにありません。しかし今日は珍しいことに、荷物を運べる小さなキャリアバックを引いて、一人で出かけました。
あとからお母さんと主人の会話で聞いた話ですが、どうもお母さんは新聞の折り込み広告を見て、居ても立ってもおれなくて買い物にでかけたらしいのです。
そういえば、主人はいつも嘆いていました。お母さんは安いものを見ると、必要がなくても買ってしまう。スーパーでも、献立の予定にないものまで安いからって買ってしまうので、献立のレパートリーの少ない主人は、お母さんの買ったものをどう献立に使おうかと悩んでしまうらしいのです。
今日は一人食材の広告を見て、おかあさんの安物買いの虫が騒ぎ始めたのでしょう。

どれくらい時間がたったのでしょう、突然お母さんは駅までの途中にあるお米屋さんのご主人に連れられて、いや支えられて帰ってきました。どうしたの?!
「どうもとんだ迷惑をお掛けしました。ほんとに助かりました。」「とんでもない、お怪我が無くって何よりです」。
そんなやりとりをして、お米屋さんのご主人は帰っていきました。そのいきさつは、主人が帰ってきてから、お母さんと主人との会話で分かりました。

お母さんは、スーパーに一人で買い物に出かけました。買ってきたものは、予定通り広告にあった食材でした。
そのスーパーは近くの駅を越して片道2Kmくらいの所にあるのですが、最近その駅に障害者用のエレベータができました。お母さんはきっと、そのエレベータにも乗ってみたかったのでしょう。
無事買い物を済ませてエレベータに乗って家へ帰る途中、お米屋さんの前でつまずいてお尻から転んでしまったのです。
自力で立つことのできないお母さんは、通りすがりの女の人に手助けしもらったのですが、どうも女の人の力では立ち上がることは出来なかったようです。
幸い騒ぎを聞きつけたお米屋さんのご主人が、手助けしてくれて、その上家までついて来てくれたのでした。

「お米屋さんにお礼に行かなくてはならないな」「御礼をしようとしたんだけど、とんでもないと断られて」
そのお米屋さんからは、数年前まではお米を買っていたのですが、スーパーで買うほうが安いからと買わなくなってしまいました。それからは主人もお米屋さんに会うと、なんとなく気まずい思いをしていましたし、お米屋さんのご主人も顔を背けるような気がしました。
「お礼にお米を買わないといけないかな〜」

さてさて、この後どんなことになるのやら、この世の中は支えあいですからね。特に今年はその思いが強いですからね〜。