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犬の喜求性

犬の喜求性とは、言葉を変えると犬のやる気というこということのようです。サリーは訓練に関しては、この喜求欲に欠けると試験官から指摘されました。
たしかに訓練の練習やショーの走る練習の時、また実際にショーで走っている時の態度には活気がありません。
なぜサリーに喜求欲がないのでしょうか、これが訓練の今の悩みです。このことについて、ある方から次のようなアドバイスをもらいました。

嬉々とした服従訓練をさせるには、「やりたくて仕方ない」という意欲が十分にできてから訓練の練習に取り組むのがいいでしょう。
意欲が向上しないうちに練習を強いると、訓練は型通りにできても余り楽しくなさそうな訓練になってしまいます。気難しい犬なら、程なく訓練を拒否するようになるでしょう。
もし服従訓練の練習を、チョークなどの強制主体で入れていたとすれば、当然のことながら文字通り「服従」的な動作になり、喜求性は望むべくもありません。
訓練科目のような作業を強制して型にはめるのではなく、大好きなものをできた時の報酬にすれば、どんな作業にも意欲を作ることはたやすいはずです。
サリーがボール遊びが一番楽しいのなら、必ず何らかの作業の報酬をしてのみ与えるべきです。それも訓練の途中、サリーが思いがけない時にボール遊びの報酬を与えることが効果があります。
そうすれば、いつボールが出るか楽しみにしながらハンドラーを覗き込むようにして、作業の命令を待つようになるでしょう。

ドッグショーの会場の雰囲気の中では、大好きなボールを見せても喜ばないとなるとサリーの心の病は重症です。
サリーの中で「遊びモード」と「作業モード」が、物理的にも雰囲気的にも乖離してしまっているからでしょう。「作業モード」に入っている中では、ボールを見せても「どうせ本気で遊んでくれないんでしょ」ということが分かっているために、興味を示さないのではないかと思われます。
これを治すのには一旦出来上がった「モード」を壊すことが必要です。遊びの中に作業を突然入れて、その作業の報酬に遊びをやることを暫くやってみることがいいでしょう。
いつも同じことをしていると、犬に慣れが生じて惰性的な作業になりやすいものです。作業意欲のある犬には、いつどんな号令がくるか分からないスリルが、更に意欲を向上させます。

サリーの今までの訓練は、「従わなくてはいけない」を主に、「従うと褒められる」を従にした練習だったようです。この場合の「褒められる」というのは、サリーにとってご褒美の約束というよりは「そうやっていれば罰(チョーク)を与えないよ」という安心の合図として受け取っているのです。
楽しくウキウキした作業をさせるには、褒め言葉は「ご褒美(ボール遊びをする)がもらえる合図」として印象つけることが必要です。

このアドバイスは、私にとって心当たりのあるものでした。今サリーと取り組んでいる訓練は、遊びの中に訓練を入れるというものです。
決してサリーは作業がいやだと思っているのではなく、私が如何にサリーに「訓練は楽しい」、「作業は楽しい」と思わせるかにあるようです。