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命令する

サリーに命令を出すと、命令の動作はしてくれますが動作が緩慢で、喜んで命令の動作をしてくれません。訓練試験では喜求欲が足らないと言われました。
訓練士さんの命令は嬉々として俊敏に動作するのに、私が命令すると渋々で緩慢になるのは何故か、命令の出し方が下手だからからでしょうか。「ラムの喫茶室」でも、そんな悩みを書いています。
その後訓練に関する本などを読んでみると、どうも命令の出し方が下手なのでなく、訓練サイクルの最後の「人が確認して反応する」が上手くないからのようです。このことは「反応する」のところで考えてみたいと思います。

訓練の最終目標である「犬が理解して行動する」という点からすると、サリーが命令通り行動できたことは、この命令の学習はできていると言えるそうです。
動作が緩慢なのは積み重ねの問題、喜んで行動しないのは行動の後の褒め方が良くないということで、決して命令の出し方が下手だからではないようです。

訓練競技会の犬は、命令に対して考える間もなく動作を完結します。集中と練習の賜物でしょう。
しかし家庭犬の日頃の訓練は、犬を集中させて命令を出すのではなく、自然な、むしろ他に気を取られている時こそ命令を聞く学習を繰り返すことが必要なようです。
日頃の訓練は、「こういう場面でしてはいけないこと」を理解できる犬にしていくことが、究極の目的ではないでしょうか。
犬への命令は、命令する人の意図がはっきりしていて、かつ犬にとって分かり易い命令であることが重要です。また命令は犬の都合を見て出すのではなく、人の都合で出すことを認識することが大切なようです。

「アトヘ」の命令で、サリーは左脚側に時計回りで斜交いに座ります。試験官の訓練士さんは、家庭犬はそれでも良いといいます。次に主人が何を言うのか、アイコンタクトを求めて座っているからだそうです。
脚側行進もぴたっと横について歩く必要はない、かえってお互いに危険だともいいます。問題は、脚側行進の意味を犬が理解して歩くことこそが大切なようです。